山形で屋形船経営に挑戦!座右の銘は「ばかになれ」阿部欣克さんの物語

    山形県酒田市の新井田川に浮かぶ屋形船。その船の経営を行っているのが、インテリアデザイナーやカラオケ経営、最上川の船頭など、多彩なキャリアを歩んできた阿部欣克さんです。さまざまな職種を経験してきた彼が、なぜ屋形船を始めたのか?今回は、一般財団法人酒田DMOの協力のもと、慶應義塾大学の学生団体「SKIP」チームがインタビューを実施。酒田市の魅力とともに、阿部さんの人生に迫ります。

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    提供:一般財団法人酒田DMO
    この記事の目次

    屋形船の観光会社『酒田湊観光企画有限会社』代表取締役の阿部さん

    SKIP
    ▼阿部欣克さんの経歴
    • 茨城県水戸市で生まれ育つ
    • 東京でデザイン会社に就職したのち、インテリアデザイナーとして独立。カラオケボックスの経営も経験
    • 子育てを機に山形県酒田市へ移住。カラオケ機器の営業や、最上川の船頭(歌い手)を経験
    • 重病にかかるが回復。その後屋形船経営を始め、蕎麦屋も経営

    茨城県の水戸市で生まれ、学生時代を過ごした阿部さん。東京のデザイン会社に就職したのちにインテリアデザイナーとして独立したあとは、約18年間カラオケボックスの経営をされてきました。

    2人の子どもに恵まれ「子育てには自然豊かな環境がいい」という想いから、酒田市へ移住。地域を知るためにカラオケ機器の飛び込み営業で夜のスナックに出入りし、最上川の船頭としても活躍されました。

    しかし、病気にかかり声が出なくなってしまった阿部さんは、船頭を続けることを断念。そのなかでも「自分にできることは何か」を探すことを止めずにいた阿部さんは、屋形船の経営にたどり着いたのだそうです。

    ワクワクを大切に屋形船を走らせたい阿部さんの想い

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    阿部さん:病気のとき、死んでもいいと思ってた。だけど生きたということは自分なりの使命があるのかなと思った。生きるなら楽しみたいと思った。

    死の淵を経験してから、生きることに強い使命を感じたという阿部さん。最上川で船頭として活動してきた経験と「引き続きここでやりたい」という想いから、途切れかけていた屋形船の伝統を守るべく経営を決意しました。

    「やるからには自分も楽しみたい」「子どもたちに屋形船の文化を残したい」と語る阿部さん。“ワクワク”する気持ちを原動力に、阿部さんの屋形船経営への挑戦がスタートしたのです。

    開始早々のトラブル!?地元の力で乗り越えた船出

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    阿部さんは2024年に屋形船を完成させました。いい走りだしかと思った矢先、エンジンが動かないことが判明し、開始早々に運航はストップ。

    私たちがインタビューで伺った際は、エンジンはまだ修繕されておらず暖房だけがかかる状態でしたが、地元の造船会社のサポートによって、2025年の3月から無事運航を開始します。

    阿部さん:なかなかうまくいかないんだけど、地元の造船会社の方や応援してくれる人の存在があるからこそできているんです。

    阿部さんの想いに共鳴!屋形船を支えるもう1人のキーパーソン

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    阿部さんとともに屋形船の運航に向けて奔走する人物がいます。佐藤さんです。

    佐藤さんは元々料理店の料理長として働いていましたが、阿部さんの熱い想いに共鳴し、船のデザインを担当。3人の子の親でもある佐藤さんは、なぜ安定した職を手放してまで、屋形船の事業に飛び込んだのでしょうか。

    佐藤さん:料理長としての天井を感じていたんです。ならば自分次第でどうにでもなるようなことをしたいと思ったんです。

    実際にインタビューで阿部さんと対話する中で、私たちもその情熱に引き込まれました。阿部さんには、人をワクワクさせ、自然と巻き込んでいく力があります。そしてそんな阿部さんに共鳴しながら、自らのワクワクを追及する佐藤さんの姿にも、感銘を受けました。

    佐藤さん:まあ、時々阿部さんの想いが熱すぎるんですけど……それがいい。

    佐藤さんの言葉には、2人の信頼関係と、新たな船出への期待がにじんでいました。

    船に詰まった工夫

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    そんな阿部さんと佐藤さんが考え出した屋形船のコンセプトは「トレジャーハンター」です。

    私たちが船の中に入って1番先に目に入ったのは、天井。天井は佐藤さんが自らDIYしたそうで、お客さんの頭が当たっても大丈夫なように、粘土が使われています。

    ほかにも、カウボーイハットを被ってお客さんを案内したり、インディ・ジョーンズを意識したBGMを流したりと、船の至るところに工夫や遊び心が詰まっていました。

    阿部さん:屋形船は、お客さんに楽しんでもらうことと同じくらい、自分たち自身も楽しむことをモットーにしています。

    酒田市を盛り上げたい!阿部さんの今後の展望

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    屋形船の成功を目指して頑張っている阿部さん。運航再開後は、教育事業にも参画したいと考えているそうです。

    船の通り道に二次元コードを貼ることで、子どもたちがトレジャーハントを楽しめるようにしたり、ARやVRを使ったりして、自分たちもお客さんもワクワクできる場所にしていくことを目指しています。

    阿部さん:屋形船は非現実空間なんです。知らないことが意外と身近にある、知らないだけで。それを教えてあげられるのもうれしい

    阿部さんから見た“酒田市の魅力”

    これまで茨城、東京、酒田に住んできた阿部さんは、「地域色は性格にも味にも出る」「酒田は港町であり、みんな優しく、なんでも話を聞いてくれる」と語っていました。

    困った際に相談すると、親身になって話を聞いてくれる酒田の人々。私たちもインタビューを行った際に、酒田の人々がお互いを知り、話す様子を見て、人の温かさを感じました。

    自分を一言で表すなら

    阿部さんは、自身を一言で表すと「スーパープラス思考、バカ」だと言います。

    阿部さん:バカを演じ続けることができる人でありたいんです。恥ずかしさを捨てなければならない。プライドは人をダメにするから、プライド知らずのバカであり続けたい。

    阿部さん:自信は必要だよ。だけど過信はだめ。僕は止まっているのが嫌なんです。常に何か挑戦したい。

    挑戦を恐れず、子ども心と冒険心を忘れないままでいる阿部さんだからこそ、ここまでさまざまなキャリアを歩み、周りを笑顔にしてきたのでしょう。インタビューの際も「これワクワクするでしょ」と目を輝かせて語る姿に、私たちは魅了されました。

    最後に

    SKIP
    本記事では酒田市で屋形船経営に挑戦する、阿部欣克さんの人柄や取り組まれている活動について紹介しました。

    熱い想いを持って、人生のどんなときも新たなことに挑戦を続け、人を楽しさの連鎖に巻き込み行動し続ける阿部さん。インタビューを通して、阿部さんの生き方に心を打たれ、「人」が生み出す文化やつながりが地域を形作り、その魅力がまた新たな「人」を惹きつける原動力になるのだと実感しました。

    酒田市を訪れたら、みなさんもぜひ阿部さんの屋形船でその世界観を体感してみてください。これからも阿部さんは、きっとワクワクを作り出し続けてくれるでしょう。

    学生団体SKIPとは?

    SKIP(Silicon Valley Keio International Program)は、1956年(※)に設立された慶應生とスタンフォード生の国際交流団体です。毎年9月に約15名のスタンフォード生を日本に招き、企業訪問やショートトリップをイチから企画して交流しています。

    2023年9月の交流で、神奈川県葉山町を訪問した際の学びから、場所や物といった従来の観光資源に加えて、日本人の「人」としての魅力に着目し、人に会いに行く観光サービス「ひとログ」を提案し、活動しています。

    ※“SKIP Instagram公式情報”参照
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    ※掲載されている情報は、2025年05月時点の情報です。プラン内容や価格など、情報が変更される可能性がありますので、必ず事前にお調べください。

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