「貪欲な好奇心」酒田市副市長の安川智之さん

    日本海に面する街、山形県酒田市。この場所には、さまざまな経歴や経験を持つ方々が集まっています。そんな街の副市長は、自身を”貪欲な好奇心”と表現する人物でした。本記事では、一般財団法人酒田DMOの協力のもと、慶應の学生団体SKIPチームでユニークな山形県酒田市副市長、安川智之さんにインタビューを敢行し、今までのご自身のことや酒田市の魅力、現状、DXについて尋ねてみました。

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    提供:一般財団法人 酒田DMO
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    更新:2024年12月12日 13:00

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    今に至るまでの軌跡

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    現在は酒田市の副市長として活動している安川さん。しかし、生まれが酒田市といったようなゆかりがあったわけではないそうだ。

    安川さん:「私は広島県出身で、高校卒業まで広島県に住んでいました。大学は東北大学に通うことになり、仙台市に。東北大学では天文学を勉強したいと志して、修士課程まで勉強しました。しかし、天文学は挫折しました。」

    安川さんは、このことをきっかけに東京へ行くことになり、その後各地を旅行することに。その旅行で、今の安川さんに大きな影響を及ぼすこととなる出来事が起こったそう。

    旅から始まった今

    安川さん:「いろいろと旅行をしていたときに、秋田のとある村のお祭りに行ったら、『担い手がいないからあと4、5年でこのお祭りはなくなる』と言われました。文化がこう失われていってしまうんだなと。なぜ、地方に人がいないのかというと仕事がなくて、農業だけでは戻ってきてくれないということがあります。文化がなくなると町がもつ魅力もなくなってしまうと感じます。」

    文化が持つものの大きさとそれを支えるために必要な次の世代。この問題を解決するために安川さんは何ができるかを考え、それを踏まえて就職先を決断します。

    安川さん:「自分が解決するためには、文化庁に入ればいいのかとも考えました。最終的に地域を活性化させる仕事がしたい、地域を俯瞰でみられる場所として経済産業省を選びました。」

    経済産業省を経由した酒田市への道

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    経済産業省に就職した安川さんは2017年に酒田市と交流を持つこととなり、人事交流として酒田市にやってきました。酒田市の魅力とギャップについて、安川さんはこう語ります。

    安川さん:「人と人との距離が近いことが魅力です。”あの人は嫁さんの弟です”となったりするぐらい近いです。なので、新しいことをしたいときに辿っていくことで、しやすいことに繋がります。」

    安川さん:「ギャップとしては、自分の周りからは寒くないかと心配されるのですが、思ったほどではないことがあります。風で思ったより雪が降らないみたいですね。実は私の任期は2年間の予定だったのですが、酒田市の居心地が良く、任期が来たのですが延長してずっと酒田市にいます。」

    自分を表す好奇心という言葉

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    安川さんにご自身を一言で表すならどういう言葉を付けるかという問いには、いくつもの場所を通って、酒田市にたどり着いた安川さんならではの答えがありました。

    安川さん:「好奇心ですね。修飾語をつけるとしたら”貪欲な”、”貪欲な好奇心”です。やっぱり貪欲さが大事です。こうなったらいいのにと思うことはあるけど、それを踏み出していける人間になりたいし、その方がおもしろいです。」

    秋田のお祭りの現状を見て、経済産業省への就職を選んだ安川さんらしい答えです。

    酒田市で取り組んだこと

    酒田市にやってきて取り組んだことについてもお聞きしました。答えはどれも人を繋ぐものでした。

    安川さん:「主に酒田市では起業支援、エネルギー政策、人事交流の一環として経済産業省と酒田市の人材の交換をしています。ほかにも”つなぐ”というキーワードのもと、産業振興まちづくりセンター『サンロク』を立ち上げました。人材育成などのサポートをすることで、ハブになりたいと考えました。」

    副市長としての現在

    副市長という役職の安川さんだが、その役職になろうと思った理由はシンプルなものでした。

    安川さん:「副市長になろうと思ったのは、なってと言われたからです。ただ、この地域に変化を期待しているかもしれません。新しい人を地域に、地方に取り入れていかないと、人口減少という波に飲み込まれてしまいます。地域が疲弊していってしまうので、新しい風をいれていくのが大事だと思います。これは『サンロク』でやっていたことが関係しているかもしれません。」

    副市長としてやっていること

    副市長は何をする人なのだろうか。今取り組まれていることについてもお聞きしました。

    安川さん:「やっていることは幅広く、何かこれというのは難しいです。いろんな業界の方と話したりしますし、普段の仕事は政策の決定です。要は酒田市の選択の決定です。」

    安川さん:「やっぱり、一番の大きな課題としては人口減少があります。まず、子供の数が減っているため、小学校の統合をしないといけないです。そんな状況から、中学校もくっつけて9年間の義務教育学校を作ろうという構想もあります。」

    安川さん:「人が減ることで水道などのインフラが過剰になってしまうということも起こります。こうなるとメンテナンスが大変で、これも近隣と合体させるなどして対策しています。ほかにもDX人材が不足しているので、エンジニアやIT人材をどう育成できるかを考えるなどしています。幅広くやっていますが、1つこだわっていることがあるとすれば人と直接会うことです。

    地域でのデジタルトランスフォーメーションの方略

    普段取り組まれていることについてお聞きしたときに出てきたDXについて、酒田市はさまざまな方法を用いて、取り組まれていました。

    安川さん:「酒田市にはDX戦略があります。自治体のLINEがあったりします。飛島に渡る船や窓口の待ち時間も分かったりします。酒田市は広く600㎢あり、東京23区ほどの大きさがあります。なので、遠くの人の相談をZOOMでやるなどの取り組みもしています。また、PayPayのポイント還元を多くするなどして、市独自で30%還元にしているところもあります。」

    高齢者の方々へのDXのアプローチ

    高齢者の方々にDXを広める方策についても聞いてみました。

    安川さん:「例えばタブレットを高齢者世帯に配っても、コストや使われない可能性が大きいので、デジタルとアナログの併用をしています。回覧板のデジタル化など、オンラインでいい人はオンラインで、アナログでいい人はアナログなど少しずつ混ぜていっています。スマホ教室なども行っています。」

    最後に

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    貪欲な好奇心の安川副市長の生い立ちと現在行われていることについて紹介させていただきました。このインタビューを通じて、”人”という存在が持つ価値の高さを改めて認識しました。

    ”人”によって生み出される文化、関係が地域を形作り、それが他の”人”を呼び込む価値となっていくと感じました。安川副市長からは、ご自身の経験を踏まえた話を聞くことができ、またそのユニークな人柄に惹かれました。

    私自身もそのような、他人にとって魅力ある”人”になりたいと思い、自分を高めたいと感じました。安川副市長、インタビューご協力ありがとうございました。

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    学生団体SKIPとは?

    SKIP(Silicon Valley Keio International Program)は、1956年(※)に設立された慶應生とスタンフォード生の国際交流団体です。毎年9月に約15名のスタンフォード生を日本に招き、企業訪問やショートトリップをイチから企画して交流しています。

    2023年9月の交流で、神奈川県葉山町を訪問した際の学びから、場所や物といった従来の観光資源に加えて、日本人の「人」としての魅力に着目し、人に会いに行く観光サービス「ひとログ」を提案し、活動しています。

    “SKIP Instagram公式情報”参照

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