空き家からまちの未来をつくる!酒田市で暮らしを支える「緑の人」菅原さんとは?

    空き家は「問題」ではなく「可能性」かもしれない。山形県酒田市で、総合建設業『株式会社 菅原工務所』の社長と、空き家の所有者と購入・利用者のマッチングと情報発信を進めるNPO法人『こ家プロジェクト』の理事長を務める菅原脩太さん。建設という視点から、地域の持続的発展に向けて活動しています。本記事では、一般財団法人酒田DMOの協力のもと、慶應義塾大学の学生団体「SKIP」チームがインタビューを実施。地域を想い、まちに根を張る“緑の人”菅原さんの歩みと展望についてお届けします。

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    提供:一般財団法人酒田DMO
    この記事の目次

    菅原さんの原点とは?まちづくりは家づくりから

    菅原脩太さんの経歴

    SKIP
    菅原さんは家業の建設会社を継ぎ、現在は菅原工務所の5代目社長として活躍されています。

    菅原工務所は、創業88年(※)を迎える老舗建築会社であり、現在は48名(※)の従業員を抱え、土木、建築、工事、不動産まで幅広い事業を展開。地域のまちづくりを支える存在として、酒田市内でも有数の実績を誇っています。

    また、菅原さんは大学で建築を学んだのち、東京の総合建築企業に約6年半勤務。その後、13年前に地元・酒田市へ戻り、2年前からは社長として株式会社菅原工務所の経営に携わっています。

    さらに現在は、NPO法人『こ家プロジェクト』の理事長も務め、地域を巻き込んだプロジェクトを精力的に推進しています。

    ※”株式会社 菅原工務所 公式HP”参照
    ※2025年4月時点の情報です

    建設業から見えてくる酒田市

    SKIP
    大学卒業後、東京の総合建築企業で約6年半勤務していた菅原さん。地元・酒田に戻ってきたとき、都市との違いをどのように感じたのでしょうか。

    菅原さん:酒田市の人は、みんな穏やかです。「しょうがねぇのぉ」って、何でも快く受け入れます。もしかすると、時間や心のゆとり、自然の豊かさがあるからかもしれません。人口密度の違いも影響していると思いますし、人と人との関わりの濃さも関係しているのではないでしょうか。

    取材中、私たちも市民のあたたかさと人との距離の近さをたびたび実感しました。続けて、酒田市の建設業界の風土についても教えてくれました。

    菅原さん:酒田市では、建設会社同士のつながりが強く、“何かあったら助け合おう”という雰囲気があります。NPO法人を立ち上げるときも、ほかの建設会社がすんなりと了承してくれて、助けられました。業界全体で横のつながりが広いです。

    こうした地域ならではの人間関係や風土も、こ家プロジェクトの土台になっていると感じました。

    空き家と土地のリアルな課題!境界線がわからないという現実

    酒田市で建設業に携わっている中で、どんな地域課題を感じているのでしょうか。

    菅原さん:土地の境界線がはっきりしていない空き家があります。その線がはっきりしないと、土地や建物を売買することが難しくなります。こちらは面倒な問題で、このままでは何も前に進めないという現実があります。

    この現状を前に、菅原さんは「それなら自分たちで再活用できる方法を探ろう」と考えるようになりました。

    空き家の「こ」を活かすNPO法人『こ家プロジェクト』

    空き家の個性を活かしながら、人の手に渡り、再び使われる場として生まれ変わらせたい、そんな想いから立ち上がったのが、NPO法人『こ家プロジェクト』です。

    ”こ家”の「こ」には、「古」い、「小」さい、「個」性的という3つの意味が込められています。ここからは、こ家プロジェクトについて、お話を詳しく伺っていきます。

    『こ家プロジェクト』の理念にあるのは利益より“地域の未来”

    こ家プロジェクトの活動は、空き家問題を解決したいという利他的な想いから生まれました。その背景には、「空き家の課題を解決することが、地域の持続性につながる」という信念があります。

    たとえば、空き家を売却できたとしても、売り手が解体費用を負担するケースが多く、結果的に損をしてしまうことも少なくありません。

    しかし、空き家を買い取り、古民家として再活用することができれば、売り手にも買い手にもメリットが生まれ、win-winの関係が築けます。

    こうした形で菅原さんは、空き家問題の解決に取り組んでいます。また、地域との接点をつくるため、地元の高校生を対象にした「空き家活用アイデアワークショップ」なども開催。

    空き家を地域資源として再定義し、まちとの新たな関係性を築こうとしています。

    なぜNPO法人?協力を生むための形とは

    こ家プロジェクトは、NPO法人として運営されており、菅原さん自身はこの活動を無給でおこなっています。そこには、強い覚悟と信念がありました。

    菅原さん:利益を追求してしまうと、大事な部分を見逃してしまうかもしれないと思いました。利益の追求を手放すことで、手段に縛られず、地域の持続的な発展に貢献できるのではと考えました。

    さらに、“協力”を得るための工夫についても話してくれました。

    菅原さん:この問題は、いろんな人が関わらないと解決できません。工事も地元の会社にお願いしています。もし菅原工務所だけで全部おこなっていたら、「自分のところだけ金儲けか!」といわれる可能性があります。 だからこそ、利益を分配できないNPO法人という形が1番だと思いました。

    まさに“地域貢献、全振り”です。ひとりでやるのではなく、みんなでこのまちに向き合いたい。そんな菅原さんの覚悟と、酒田市全体で取り組みたいという強い意志がにじんでいました。

    空き家から始まるまちづくり「こ家プロジェクト」が届けたい想いとは

    新しい出会いが次の挑戦に!菅原さんが今会いたい人とは?

    このプロジェクトを進めていく上で、菅原さんはどのような人に会いたいのか、聞いてみました。

    「こんな人と、一緒にまちを育てたい」まず挙がったのは、「地方創生に興味がある人」。

    こ家プロジェクトは、地域の持続的な発展を目指す取り組みだからこそ、地方ならではの課題に関心を持ち、解決したいという意志のある人となら、きっと大きなシナジーが生まれるはずです。

    プロジェクトを届けたいのはこんな人!

    こ家プロジェクトの今後の展開において、菅原さんがとくに届けたいと語っていたのが「第2の家を探している人」。別荘として古民家を活用してもらえれば、空き家の再生だけでなく、古民家の魅力や酒田という土地の奥深さにも気づいてもらえるきっかけになるはずです。

    さらに「海外にいる人にも知ってもらいたい」と話していたのも印象的でした。

    最近は地方を訪れるインバウンド観光客も増え、地域の魅力に目を向ける流れが加速しています。このタイミングで、こ家プロジェクトが世界に知られることになれば、空き家活用の新たなモデルケースになる可能性も広がりそうです。

    たったひと言で伝える“自分らしさ”とは?

    最後に、「ご自身をひと言で表すなら?」と尋ねたところ、菅原さんは少し照れくさそうに、はっきりと答えてくれました。

    「緑の人、です。」

    そういって笑顔で、次々にご自身の持ち物を見せてくれました。名刺や手帳、ペンはもちろん、スーツ、ネクタイ、鞄、そして靴まで、驚くことにすべてが“緑色”でした。

    「緑=自分」そのこだわりの理由とは?

    「緑を見たときに、僕のことを思い出してもらえたらうれしいです」その言葉の奥には、“誰かの記憶に残る存在でありたい”という、菅原さんらしい想いが込められていました。

    まちづくりも人づくりも、きっかけは、たったひとりの心に残ることから始まるのかもしれません。

    緑へのこだわりに込めた想いとは?

    菅原さんが「緑」に込めているのは、縁の下の力持ち、平和、調和、協調性といったイメージ。たしかに、こうしたキーワードを象徴する色として、緑はよく使われます。自分の在り方や価値観をそのイメージに重ねるように、日々の身の回りにも“緑”を取り入れているそうです。

    しかし、それだけではありません。

    菅原さん:戦隊ヒーローで緑のキャラって、いつも端っこにいます。でもその“端っこの緑”がいなかったら、ほかの色が映えないし、チームとして成立しない。
    建設会社もそれと同じで、実際に家に住む人が主役。だけど、建てる人がいなかったら、そもそも暮らしは始まらないのです。

    住む人の人生を尊重しながらも、“自分たちがいるからこそ成り立つ”という誇り。あくまで黒子として、けれど確かな支えとして地域をつくっていく、そんな静かな意志が、菅原さんの言葉から伝わってきました。

    菅原さん:緑はありふれた色ですよね?そんなよく目にするもの、そういった立ち位置になりたいのです。

    人々の暮らしを支える仕事をどのように菅原さんが考えていらっしゃるのか理解ができました。謙虚であると同時に揺るがない自信を感じ、菅原さんのプロフェッショナリズムが伺える答えでした。

    最後に

    SKIP
    本記事では「緑の人」こと菅原さんの活動を紹介しました。緑色へのこだわり以上に感じたのは、空き家再生にかける真っ直ぐな情熱。建てて終わりではなく、持続していくことがゼネコンの使命ということばから、その覚悟が伝わってきました。

    こ家プロジェクトは、私たちSKIPがおこなう地方創生の取り組みにも通じる部分が多く、未来を想像してワクワクする話ばかりでした。空き家と地域をつなぐ「緑の人」のこれからに、大きな期待を寄せています!

    学生団体SKIPとは?

    SKIP(Silicon Valley Keio International Program)は、1956年(※)に設立された慶應生とスタンフォード生の国際交流団体です。

    毎年9月に約15名のスタンフォード生を日本に招き、企業訪問やショートトリップをイチから企画して交流しています。

    2023年9月の交流で、神奈川県葉山町を訪問した際の学びから、場所や物といった従来の観光資源に加えて、日本人の「人」としての魅力に着目し、人に会いに行く観光サービス「ひとログ」を提案し、活動しています。

    ※”SKIP Instagram公式情報”参照

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    ※掲載されている情報は、2025年05月時点の情報です。プラン内容や価格など、情報が変更される可能性がありますので、必ず事前にお調べください。

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