夏が来ると、数十年も遠い昔の自分に出会うために、この里山に足を運びます。♪この道はいつかきた道、ああそうだよ、アカシヤの花が咲いてる。。って歌が心の奥に聞こえてくると始まる、短い自分ドラマ。目を閉じると、浮かんでくる、今まで走り続けていたため、忘れかけていた、数々の場面、夏の香り。年に1度、訪れる父の田舎。10日だけの里帰り。従姉妹たちと朝から夜まで、山でカブト虫を追っかけ、川で魚を捕まえて遊ぶ、縁側で西瓜、急などしゃ降りはタバコ畑の葉っぱでやり過ごして、暫くすると雨が上がり、道に出て見上げると、トキ色の空に虹が掛かっている。360度から聞こえる日暮らしの声と、怖い祖母の声に押されて、渋々帰る。蚊帳の中に入るが、中々寝ない。枕投げが始まり、誰かが蚊帳の中にカブト虫を放しやがる!大騒ぎで子供たちの宴会ははじまり、気が付けばくしゃくしゃな朝。。別れの朝。朝ごはんは無言。。叔母さんがさあ今日からは、宿題だぞと言い、更に無言。。ランニングから、襟付きシャツに、麦わらからジャイアンツ帽に、ゴム草履からスニーカーに着替えると、素っ気なく、じゃあね、うんしか言わない子供お別れ。大人たちはなんか慣れたようで、明るいが、子供達は、昨日までの明るさが嘘のように湿っている。。バスが来ると、チョットだけ従姉妹たちを見て、奥へ入る。。父ちゃんが、何やってる!こっちに来いと、隣の席を勧めるが、、私は一人がよかった。バスは、毎日遊んだ神社の角を右に曲がるはずだ。その前に、その前に最後に一度振り返る。。まだみんな手を振っているのがとても小さくにじんで見える。そしてバスが右に曲がると、私の楽しい夏が終わる。。皆さんもこんな夏だからこそほんのたまには、昔の自分に会う旅に出かけてみてはいかがでしょう。。