カチガラスさんが投稿した口コミ

 2026/7/20 (月)
 2026/4/13 撮影 : ヤエヤマヒメホタル「八重山姫蛍」
 於 : 石垣島 
 南十字星(サザンクロス)が観測できる日本で数少ない地、石垣島。
 今回、その姿を写真に収めようと三脚まで持ち込んだものの、水平線ギリギリの低空に鎮座する南十字星は厚いガスや黄砂に阻まれ、残念ながら撮影は叶わなかった。
 しかし、その代わりに私を迎えてくれたのが「ヤエヤマヒメボタル」である。

 石垣島や西表島に2月下旬から5月頃にかけて現れる、体長わずか2〜4mmという日本最小のホタルだ。川辺に生息するゲンジボタルと異なり陸生で、日没後のわずか30〜45分間だけ、森の中で一斉に激しく光り輝く。
 バルブ撮影(f/2.8、ISO100、2分30秒)で捉えたその姿は、まさに「光の絨毯」。
 ホタル観賞の代表的なスポットであるバンナ公園や前勢岳周辺は、まるで地上に舞い降りた星空のようだった。

 南十字星は撮れなくても、今回はこの儚(はかな)くも美しい光の余韻が、私の旅情を優しく暖めてくれた。
 於茂登岳(おもとだけ)の森の中で巣籠もりに入った、日本固有種のオリイヤマガラに出会えなかったことが、実に口惜しくてならない。「あと10日早かったら」――と。
 それでも、出会いを逃した野鳥はオリイヤマガラ、ミフウズラ、リュウキュウヒクイナの三種ぐらいであろうか。
 いずれにしても、琉球諸島での撮影種は66種に及び、重複を除く54種ものライファー(初見の鳥)と出会うことができた。

 温暖多湿な地域ほど体色が濃くなる「グロージャーの法則」、翼を傘のように広げて獲物を狙う「キャノピー・フィーディング」、独自の進化をもたらす島嶼(とうしょ)化の「フォスターの法則」。
 そして、高温多湿な森の病原菌から身を守るため、メラニンで羽毛を強化する感染防御――。
 「種」を求め歩く旅は、私に計り知れない教えと深遠な思索をもたらしてくれる。
 そこに秘められた進化の軌跡や生物学的な営みは、これまでの探鳥で得た知見を遥かに凌駕するものだった。

 単に「世界自然遺産」の価値を持つという名目のもとに保護されるだけでなく、この「亜熱帯照葉樹林の豊かな森」が、常に畏敬の念を以て見守られ、末永く守り継がれることを願ってやまない。

ーーー 琉球諸島探鳥記 石垣島編 完 ーーー

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