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道後温泉 本館

愛媛県松山市にある道後温泉館の正面玄関を記念に撮影。
ここは、かの夏目漱石の「坊ちゃん」で登場する温泉に違いない。

以下「坊ちゃん」より抜粋
「おれはここへ来てから、毎日住田の温泉へ行く事に極きめている。ほかの所は何を見ても東京の足元にも及およばないが温泉だけは立派なものだ。せっかく来た者だから毎日はいってやろうという気で、晩飯前に運動かたがた出掛でかける。ところが行くときは必ず西洋手拭の大きな奴をぶら下げて行く。この手拭が湯に染そまった上へ、赤い縞しまが流れ出したのでちょっと見ると紅色べにいろに見える。おれはこの手拭を行きも帰りも、汽車に乗ってもあるいても、常にぶら下げている。それで生徒がおれの事を赤手拭赤手拭と云うんだそうだ。どうも狭い土地に住んでるとうるさいものだ。

まだある。温泉は三階の新築で上等は浴衣ゆかたをかして、流しをつけて八銭で済む。その上に女が天目てんもくへ茶を載のせて出す。おれはいつでも上等へはいった。すると四十円の月給で毎日上等へはいるのは贅沢ぜいたくだと云い出した。余計なお世話だ。まだある。湯壺ゆつぼは花崗石みかげいしを畳たたみ上げて、十五畳敷じょうじきぐらいの広さに仕切ってある。大抵たいていは十三四人漬つかってるがたまには誰も居ない事がある。深さは立って乳の辺まであるから、運動のために、湯の中を泳ぐのはなかなか愉快ゆかいだ。おれは人の居ないのを見済みすましては十五畳の湯壺を泳ぎ巡まわって喜んでいた。」

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