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「成願寺」
成願寺と中野長者の伝承
およそ600年昔の応永年間、この地に鈴木九郎という人が住み着きました。
あたりは見渡すかぎりのススキの原っぱでした。
九郎は荒れた土地をすこしずつひらきながら田を造り馬を育てていました。ですが食べ物のない日もある、貧しい暮らしでした。
ある日、九郎はやせた馬を1頭つれて千葉の方の馬市へ出かけました。
その途中、浅草の観音さま(浅草寺)にお詣りをしてこんなお願いをしました。
「どうか観音さま、馬がよい値で売れますように。この馬が売れて、そのお金のなかに大観通宝がまさっていたら、それはぜんぶ観音さまにさしあげます。」
さて、そうして馬市に行くと、馬は思ったよりずいぶん高く売れました。
「これは観音さまのおかげじゃ」
九郎は大喜び。
ところが受け取ったお金を見てみると、みんな大観通宝だったのです。
「これは困った。大観通宝はみんな観音さまにさしあげるといってしまった・・・それでは1銭も残らない」
さんざん迷った九郎ですがついに決心しました。
「やはり約束は守らなければならない。馬が高く売れる事だけ願った自分がいけなかった。
お金はしっかり働いて手に入れなければならないと観音さまが教えてくださったのだろう」
翌日から九郎は今まで以上に働いて財をなし、多くの人々も慕い集まって、中野長者とよばれるようになりました。
しかし思わぬ不幸がやってきます。一人娘の小笹が、病気で亡くなってしまったのです。
九郎夫妻の悲しみはたいへんなものでした。
東西の社寺でお祈りをし、南北の偉い人を尋ねましたが心は晴れません。
永享10年(1438)小田原の最乗寺に参拝、5世春屋宗能禅師の励ましによって九郎は、十ニ社の敷地に御堂を建てて禅師一行を招き、小笹の供養と曹洞禅の普及に精進しました。これが成願寺のはじまりです。
(以下省略)(成願寺案内より)
〜成願寺〜
所在地 中野区本町2-26-6
アクセス 東京メトロ丸ノ内線「中野坂上」駅から500m
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